クイーン、1985年『ライヴ・エイド』でのパフォーマンス映像が7月13日に無料配信
ライヴ・エイド(LIVE AID)
ライヴ・エイド(LIVE AID)は、1985年7月13日に開催された、20世紀最大のチャリティーコンサートです。アフリカの飢餓に苦しむ人々を救済することを目的として企画され、その規模と影響力は音楽史において特筆すべき出来事となりました。
開催の目的と経緯
ライヴ・エイドのきっかけは、アイルランドのミュージシャンであるボブ・ゲルドフ(ブームタウン・ラッツのリーダー)が、エチオピアでの大規模な飢饉を知り、その悲惨な状況に心を痛めたことにあります。彼は「音楽の力で何かできないか」と考え、チャリティーシングルの制作を提案します。
「Do They Know It's Christmas?」の成功: まず、1984年にイギリスの有名ミュージシャンたちが集結した「バンド・エイド」として「Do They Know It's Christmas?」をリリース。これが世界的な大ヒットとなり、多額の寄付金を集めました。
「We Are the World」の誕生: これに触発され、アメリカでもクインシー・ジョーンズとライオネル・リッチーが中心となり、「USAフォー・アフリカ」として「We Are the World」を制作。こちらも同様に大きな成功を収めました。
コンサートの企画: これらのチャリティーシングルの成功を背景に、ボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロがさらに大規模な支援を行うため、史上最大のチャリティーコンサート「ライヴ・エイド」の開催を企画しました。スローガンは「1億人の飢餓を救う」でした。
開催概要
開催日: 1985年7月13日
メイン会場:
イギリス: ロンドンのウェンブリー・スタジアム
アメリカ: ペンシルベニア州フィラデルフィアのジョン・F・ケネディ・スタジアム(JFKスタジアム)
この2つの会場で同時開催され、世界中に衛星生中継されました。
観客動員数: ウェンブリー・スタジアムには7万2千人、JFKスタジアムには約9万人が集まりました。
全世界の視聴者: 約130カ国でテレビ中継され、推定19億人が視聴したと言われています。これは、まだインターネットが普及していなかった時代において、驚異的な数字でした。
参加アーティスト(一部)
ライヴ・エイドには、当時の音楽界を代表する錚々たるアーティストたちが、チャリティーのためにノーギャラで出演しました。
ウェンブリー・スタジアム(イギリス)
クイーン(Queen): 映画『ボヘミアン・ラプソディ』でも描かれた、その伝説的な21分間のパフォーマンスは、今も語り継がれています。
U2
エルトン・ジョン
デヴィッド・ボウイ
ザ・フー
ダイアー・ストレイツ
ジョージ・マイケル
フィル・コリンズ(コンコルドで両会場に移動して出演!)
JFKスタジアム(アメリカ)
マドンナ
ミック・ジャガー
ティナ・ターナー
ボブ・ディラン
エリック・クラプトン
レッド・ツェッペリン(再結成)
ブルース・スプリングスティーン(当初の出演リストにはなかったが、直前に参加を表明)
パティ・ラベル
ザ・ビーチ・ボーイズ
この他にも、非常に多くの有名アーティストが参加し、音楽の力を通じて世界にメッセージを送りました。
ライヴ・エイドの影響と legacy
莫大な寄付金: 最終的に約1億2,700万ドル(当時のレートで約300億円以上)もの寄付金を集め、アフリカの飢餓救済に貢献しました。
世界の意識変革: 大規模なチャリティーイベントが成功する可能性を示し、世界中の人々の飢餓問題への意識を高めるきっかけとなりました。
ポピュラー音楽の力: 音楽が社会問題解決のためにこれほどの大きな影響力を持つことを世界に知らしめました。
課題と教訓: 一方で、集められた支援物資が末端まで行き届かなかったり、一部で政治的に利用されたりといった問題点も後に指摘され、後の大規模な国際支援における教訓ともなりました。
ライヴ・エイドは、音楽と人道支援が融合した歴史的なイベントとして、今もなお多くの人々の記憶に残る、偉大なコンサートです。
ライヴ・エイドにおけるクイーンのパフォーマンス
ライヴ・エイドにおけるクイーンのパフォーマンスは、**「伝説的」**と称され、彼らのキャリアにおいて最高の瞬間の一つとして、今もなお語り継がれています。2018年の大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』でもクライマックスとして忠実に再現され、その偉大さが改めて世界に知られることとなりました。
パフォーマンスの背景と状況
開催直前のクイーン: 1985年当時、クイーンはメンバー間の不和や音楽性の違いから、解散の危機に瀕していました。バンドとしての活動は停滞気味で、世間的な評価も以前ほどではありませんでした。
出演への迷い: 当初、クイーンはライヴ・エイドへの出演を迷っていたと言われています。しかし、ボブ・ゲルドフからの熱心な誘いと、チャリティーへの貢献という大義に賛同し、出演を決意しました。
完璧主義者の準備: クイーンのメンバーは全員が完璧主義者であり、わずか21分間のステージのために、ロンドンの劇場を借り切って1週間にもわたる徹底的なリハーサルを行いました。音響や照明、ステージングに至るまで、細部にこだわり抜いた準備が、あの伝説のパフォーマンスを生み出す土台となりました。
伝説の21分間
クイーンのステージは、1985年7月13日、ウェンブリー・スタジアムで行われました。持ち時間はわずか21分でしたが、その短い時間の中で、彼らは観客とテレビの前の全世界の視聴者を完全に掌握しました。
「Bohemian Rhapsody」:
ピアノのイントロから始まり、フレディ・マーキュリーの圧倒的な歌唱力と表現力が会場を魅了しました。オペラパートは短縮されましたが、観客は一体となって歌い、そのエネルギーはスタジアム全体に響き渡りました。
「Radio Ga Ga」:
この曲では、フレディが観客を巻き込むコール&レスポンスを披露。両手を頭上で叩く独特の振り付けは、7万2千人の観客が完璧にシンクロし、その光景は圧巻でした。この瞬間は、ライヴ・エイドの象徴的なシーンの一つとして記憶されています。
「Hammer to Fall」:
ブライアン・メイのギターリフが印象的なロックナンバー。クイーンのバンドとしての力強さと一体感を見せつけました。
「Crazy Little Thing Called Love」:
ロカビリー調の軽快なナンバーで、フレディがギターを弾きながら歌い、観客との一体感をさらに高めました。
「We Will Rock You」:
足踏みと手拍子で始まるこの曲は、スタジアム全体が揺れるような一体感を生み出しました。シンプルながらも力強いリズムが、観客の心を一つにしました。
「We Are the Champions」:
最後の曲は、クイーンの代名詞ともいえるアンセム。フレディの魂のこもった歌声が、会場全体を感動で包み込みました。観客も大合唱し、このチャリティーコンサートの目的である「勝利」と「希望」を象徴するエンディングとなりました。
なぜ「伝説」となったのか
フレディ・マーキュリーの圧倒的な存在感: フレディは、その歌声、ステージング、カリスマ性で、7万2千人の観客だけでなく、全世界の視聴者を完全に魅了しました。観客を意のままに操る彼のパフォーマンスは、まさに「神がかり的」と評されました。
完璧な音響と演奏: 短い時間の中で、クイーンは最高の音響と演奏を披露しました。リハーサルの成果が存分に発揮され、バンドとしての圧倒的な実力を見せつけました。
バンドの一体感: 解散寸前と言われていたにもかかわらず、ステージ上では4人のメンバーが完璧な一体感を見せ、バンドとしての絆の強さを感じさせました。
歴史的背景とメッセージ: アフリカの飢餓救済という崇高な目的を持つイベントの中で、クイーンのパフォーマンスは、希望と連帯のメッセージを力強く届けました。
他アーティストへの影響: クイーンのパフォーマンスは、その後に登場する多くのアーティストに衝撃を与え、エルトン・ジョンが「お前らに食われた!」と冗談交じりに言ったという逸話も残っています。
ライヴ・エイドでのクイーンのパフォーマンスは、彼らのキャリアを再定義し、バンドとしての地位を不動のものにしただけでなく、音楽史における最高のライヴアクトの一つとして、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。
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